獣医は、いやいやながらタヌキの診察を始める。
クミ「だめでしょうか? 助かりますか?」
獣医「何ともいえん。かわいそうになあ。若者の乱暴運転の犠牲か。」
それを聞いた、正一郎は、キレる。
正一郎「乱暴運転なんかしてませんよ。こいつが飛び出してきたんです。」
すると、
獣医「もともと、ここらは、おまえら(タヌキ)の縄張りだ。飛び出しもするわな。」
クミ「助けてください。お金いくらかかってもいいです。」
獣医「野生動物は、一切、タダだ。しばらく、入院だ。そんなところに突っ立って見てても仕方ない。帰んなさい。」
クミ「お願いします。」
正一郎とクミが帰ろうとすると、
獣医「おっと、電話番号くらい書いていきなさい。タダだと聞いて逃げられちゃあ、タヌキも二重の災難だ。」
正一郎「逃げたりしませんよ。」
正一郎「いやな野郎だな。あの獣医。」
クミ「お金にならないからよ。」
正一郎「どうする、アパート。もう9時過ぎちゃった。」
クミ「仕方ない。(アパートを紹介してくれた)ママさんに謝っとくわ。」
アパートは、あきらめるしかなかった。