クミが働くブティック。
クミは、ブティックのママに昨日の一件を謝る。
ママ「言っときますけどね、二度とあんな言い物件でないわよ。」
クミ「すみません。」
ママ「9時近くまで開けて、待っててくれたんだってよ。それ、すっぽかすなんて。」
クミ「タヌキが死にそうだったんで。」
ママ「タヌキが何よ。バカを見たのは私。散々嫌味言われて、謝って、もう二度とアパートなんて世話しないからね。」
クミ「すみません。」
ママ「ねえ。クミちゃん。あなた、彼氏とお店持とうなんて気でいるらしいけど、そんなことじゃとてもだめよ。」
クミ「はい。」
ママ「人との約束すっぽかしたりすればね、まず信用なくすし、」
クミ「はい。」
ママ「タヌキがどうのこうのなんて、大人の社会では、理由にもならないわよ。この世の中はね、厳しいのよ。人間が優先なのよ。人間が。」
正一郎が働くコンビニ。
正一郎の知人の小学生、隆とその友人が買い物に来る。
正一郎「あれ、今日は、早いんだね。」
隆の友人「夏休みだもの。」
正一郎「そうか。夏休みか。夏休みも塾かい?」
隆「だから、大変なんだよ。夏休みで、差がついちゃうんだ。」
正一郎「ううん。差がね。」
隆の友人「隆、行くよ。」
正一郎「うん。」
正一郎が今住んでいるアパートへ戻ると、
アパートの大家がやってくる。
大家「たざわさん。」
正一郎「はい。」
大家「あのね、ごみのことなんですがね、ちゃんと、決められた日に出してくれって、文句の電話がありましてね。」
正一郎「ぼくは、ごみなんか出しませんよ。ここには、寝に帰るだけですから。」
大家「たぶん、車で通る人が投げてったりするとは思うんですがね、独身アパートの人がまず疑われるんですよ。みんな、きれいにしてるから、やかましくってね、この辺は。いろんな文句が来て、参っちゃうんですよ。ひとつ、頼みますよ。」
大家の鬱憤晴らしにつかわれてしまう正一郎。
部屋に戻ると、電話が鳴っている。正一郎が電話を取ると、クミからだった。
クミ「正ちゃん、あたし。」
正一郎「なんだ、クミか。」
クミ「ママに怒られちゃった。アパートすっぽかしたって。」
正一郎「ほれ。見ろ。クビだって?」
クミ「そこまで言わないけど、かなり怒ってる。」
正一郎「こっちも、早々、大家に文句言われて、腐っちまったよ。」
クミ「ねえ。タヌキどうなったかしら?」
正一郎「タヌキ?」
クミ「気になってしょうがない。ねえ、ちょっと見に行かない?」
正一郎「冗談じゃないよ。くたくただよ。いいよ。」
クミ「だって、」
正一郎「クミ一人で行ってこいよ。」
クミ「ちょっと、車、乗せていってよ。ここから歩いてじゃ大変だもの。」
正一郎「そんなんまでする必要ないよ。」
クミ「だって、見てこなきゃ眠れないもの。心配で。ねえ、正ちゃん。お願い。」
正一郎「わかった。」
正一郎は、クミを乗せて、獣医のもとへ行くことに。