盆踊り後のある日、
正一郎は、クミに電話する。
正一郎「アパート、まだ大丈夫かな?」
(クミから大丈夫の返事)
正一郎「そうか。じゃあ、行ってみるか。ついでに、タヌキの見舞いに行かないか。」
獣医のもとへ、
獣医「さあ、もう大丈夫だ。ちょうど良かった。元いた場所に、二人で離してやってくれ。」
正一郎・クミ「ありがとうございます。」
獣医「離した後も、ずっと、タヌキの隣人でいてあげてくれ。」
正一郎「隣人?」
獣医「君らは、タヌキ一匹見捨てなかった。君たちこそ、タヌキの隣人として、ふさわしい人たちだ。タヌキはね、人間にとって必要な存在なんだよ。こういう街にとっては、タヌキの住めるような、健康な自然が取り巻いていてくれる、貴重なことなんだ。大人にとっても、子供にとってもね。だから、私は、人の住む家の隣に、タヌキのすむやぶがあるなんて構図、なるべく、壊したくないんだ。(タヌキに向かって)うん、お前は運がよかったな。」
その夜、タヌキのいたやぶで、
タヌキをやぶに離す。
正一郎「この辺でいいかな。1・2・3で戸を開けるぞ。」
正一郎・クミ「1・2・3、それ!!」
正一郎「仲間たち、見つけろよ。もう、飛び出してくるな。」
クミ「元気でね。」
正一郎「俺たちも、ずっと、ここに住むからな。また、逢おうぜ。」
クミ「正ちゃん。」
正一郎「クミ、二人でやってこうな。ここで。」
(第3話 完)