第4話「公園の多い街」


ストーリー(5)

“すると、”

“キセルです。急に遠い記憶が甦ってきて、足が止まってしまいました。そう、わたしのおじいちゃんが、キセルでタバコを吸っていた姿です。それを思い出したのです。それは、わたしがまだ、父や母や、大勢の家族に囲まれていた、一番、幸せな時代でした。”

キセルの老人「(龍之介くんへ)ぼく、キセル珍しいかね。」
母親「すいません。じろじろ見たりして。実は、とっても懐かしくて。祖父が昔、よく、キセル使ってましたので。それを思い出して。」

キセルの老人「よかったら、持ちなさいよ。」
母親「え。」
キセルの老人「わたしは、まだ、何本も持ってる。これで、毎日、おじいちゃんのこと思い出しなさいよ。悪い品じゃない。」

“一本のキセルは、魔法のような力で、父と母の思い出を返してくれました。近い将来、きっとまた、わたしにも、新しい家族が出来るんじゃないか。そんな、希望もわいてきました。”

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