第2話「SOSの届く街」


ストーリー(2)

その頃、レッスンに参加する時枝の友人の長野夫人たちは、

*「ちょっと寄ってみる?」
長野夫人「そうね。でも、もう時間よ。」
*「あら、素敵なものがありそうよ。この辺、おしゃれな街だから。」
長野夫人「お勉強がさきさき」

と、遅刻しそうなのに、やけにゆっくりと篠崎宅へ向かう。

案の定、すでに遅刻している、長野夫人たちを置いて、英会話のレッスンは、始まろうとしていた。

*(左側)「今日、どこからだったかしら?」
*(右側)「えっと。いやだ、わたしも忘れちゃった。」

そして、メアリー先生を交えて、レッスンは、始まる。

しばらくレッスンを続けていると、呼び鈴が鳴る。

時枝「はーい。いらしたようね。」

堂々と遅刻している、長野夫人たちが来たようである。

*「あらー。」
時枝「みなさん。もうお待ちですよ。」
*「時間厳守のつもりだったのに。」
長野夫人「お邪魔します。」

午後3時すぎ、再び、レッスンは再開。しかし、友人たちは、先生と会話するのが大変そう。

*「あ。難しいですね。英語って。」
*「絶望よ。とてもだめだわ。」
長野夫人「あら。そういわないでよ。私なんて、あなたより1年前からやってこの有様よ。」
メアリー先生「どこの国の言葉も、むずかしいです。わたし、日本語、難しいと思います。」
*「先生の日本語は、完璧ですよ。」
*「やっぱり、(頭を指して)ここの問題よ。ここの。」

レッスン終了後、時枝が友人に飲み物を入れる。そして、雑談。

時枝「まあまあ、みなさんいいじゃないの、メアリー先生に、お願いして、気長にやりましょうよ。」
*「篠崎さんは、もうぺらぺらだから。」
時枝「いいえ、まだまだよ。」

そして、一人暮らしはいいなという話題に。

*「うらやましいわ。お一人だから、勉強に集中できるでしょ。私なんか、息子たち3人が、かわるがわる、メシ、フロ、カネ、もう頭にきて、カッカカッカしているうちに、習ったことみんな忘れちゃうのよ。」
*「うちは、娘2人だけど、やっぱり、頭にくるわよ。お母さんは、趣味が悪いとか、色のセンスがどうのとか、服装評論家2人抱えてるみたい。カッカして忘れちゃうの同じよ。」
時枝「そうね。うちの場合、息子は、アフリカの奥地に行っちゃってるし、娘は、結婚したとたん、仙台転勤だし。夫は天国。もう24時間、自分のものだから。今だって、欲張って、いろんなことに挑戦してるのよ。」
長野夫人「えらいわ。大抵1人になると、さびしがって、子供のあと追いかけるのに。」
時枝「子供には、子供の人生があるわ。じゃまできないわ。」
長野夫人「自立心旺盛ね、篠崎さんは。時代の先端を行く考えの持ち主ね。」
*「条件も揃ってるわよ。まず自由、それにこの環境、この辺は本当に、篠崎さんみたいな人が住むのにぴったりって感じね。」
時枝「ええ。わたし、ここ気に入ってるの。夫と一緒に、ずいぶん歩いたけど、ここが一番よ。街が新しいせいか、近所づきあいがうるさくないし、両隣の苗字くらいは知っているけど、それ以上はね。おたがい、プライバシーを大切にしてるのよ。」
*「いいわね。」

しかし

*「でも、不安じゃないですか?」
時枝「不安?」
*「何かあったとき、一人は。
時枝「何かって。」
*「何があるかわからないでしょ。今の世の中。」
時枝「だから、気をつけてるわ。」
*「気をつけてるって言っても、子供は、遠くへ行っちゃってる、近所づきあいもないなんて、私だったら、とっても心細くてやっていけないわ。なにしろ、田舎の大家族で育ったから。」

午後4時、それぞれ、用事があるため、友人たちは、帰路へ着くことに。

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