第1話「大山の見える街」


ストーリー(6)

功一の運転で、大山のふもとを目指す、助手席にはケイ。お互い会話しながら、車を進める。

そして、大山のふもと、ケーブルカーの追分駅近くに到着する。ここからは、頂上まで、歩いて向かうことになる。

ケイ「さあ、パパ、がんばって。ここからが本番よ。」

そして、登山道をしばらく歩くと、、、

ケイ「あそこだわ。おじいさんが汲みに来たところ。」

おじいさんがお水を汲みに来た滝に到着する。

滝の水を、ケイは、手で汲み、飲んでみる。

ケイ「おいしーい。」

ケイ「松原さん家のおじいさん、すごいわね。ここから、お水を持って、帰りも休まずにあのお家まで帰ってたのね。」
省吾「まったく、すごいとしかいいようがないな。」

3人は、大山阿夫利神社まで、たどり着く。そこで、参拝をする。

参拝後、まだ、先に道があることにケイが気づく。

ケイ「まだ、向こうがあるみたい。」
省吾「まだ、上があるんだね。おじいさんは登られたのかな。」
功一「登ったに決まってますよ。あの爺さんなら。」
省吾「私には、とても無理だ。」

と、省吾は、あきらめようとするが、

ケイ「ねえ。パパ、登ってみない?」
省吾「え。」
ケイ「せっかく来たんだもん。途中まででも登ってみようよ。」
功一「そうだね。登ってみましょうよ。」

省吾、ふと、上を見上げる。

省吾「うーん。そうだな。休みながら行けば、だいじょうぶかな。」
ケイ「オッケー。さあ。」

結局、省吾は、ケイと手をつないで上へ向かうことに。

そして、山頂に到着する。

ケイ「うわー。いい景色。」
省吾「...(ただ見とれる。)」
功一「...(ただ見とれる。)」

そこには、絶景が広がっていた。

ケイ「家、見えるかしら。」
省吾「...(ただ見とれる。)」
功一「...(ただ見とれる。)」
省吾「こんなところから、自分の国を眺められるなんて、思ってもなかったな。やっと、大地に根っこを下ろしたような気がする。」
ケイ「よかったわね。パパ。」
省吾「(うなづく。)」
ケイ「パパ、夏休みにもう一度、アメリカに行って来てもいい?」
省吾「アメリカ?」
ケイ「(うなづく。)日本に帰ってきて、ちょっとの間に、すごくいろんなこと見たけど、アメリカでは、何も見てこなかったような気がする。なんにも。せっかく5年もいたのに、」
省吾「うん。そうだな。パパもそんな気がしているよ。ケイは若い。もう一度、よく見てくるのも、いいかもしれん。」
ケイ「アメリカの友達に、日本で見たことや、感じたことを、話すわ。そしてね、伝えていかなくちゃいけないこと、もっともっといっぱい知りたいの。」
功一「ずっと住んでると、何もかもが当たり前で、気づかないことがあるんだ。いま、やっと分かったよ。家の貴重な文化財、大切にするよ。」

(第1話 完)

前へ * トップページ * 第2話「SOSの届く街」(登場人物)へ