第2話「SOSの届く街」


ストーリー(8)

篠崎家では電話が鳴る。しかし、動けない時枝は、電話を取ることができない。

時枝に電話をしているのは、仙台に住む、時枝の娘の京子。

京子「ねえ。ママでないの、どうしたのかしら。」
信彦(京子の夫)「どっか、出かけてるんだろ。」
京子「そんなはずはないわ。今頃、留守なんて。ママ、用心深いのよ。」
信彦「それは、まだ、キミというお荷物が、またうちにいたからさ。いまは、一人で自由なんだから。」
京子「そんなんじゃないわ。ママは。それに、宅急便だってもう着いているはずなのよ。ママが好きな、笹かまぼこ送ったんだから、電話かけてこないなんて、おかしいわ。」
信彦「大丈夫だよ。まだ若くて、あんなに張り切っているじゃないか。余計な心配しないこと。」

信彦、京子から電話を取り上げる。

時枝は、ひたすら、床を叩き続ける。

階下の千葉宅では、礼二は、いびきをかいて寝ている。節子も寝ていたが、上の階の時枝がたたく音に気づき、目が覚める。

節子「あなた。ちょっと。」

節子は、礼二を起こす。

礼二「なんだよ、今夜は、君の番だろ。理香は。」
節子「違うの。ちょっと聞いて、あの音。」
礼二「音?」
節子「ほら。上からとんとんって聞こえるでしょ。」
礼二「まあ、夕方も音が聞こえたかもしれないなあ。なんか仕事でもしているんだろう。」
節子「こんな、真夜中まで?」
礼二「真夜中だって、仕事する人間はいるさ。この上に誰が住んでるのか知っているのかい?」
節子「うんうん。」
礼二「じゃあ、気にするなよ。」
節子「でも、なんだか、気になって。SOSって聞こえない?」
礼二「気のせいだよ。君は、煩わされるのがいやなんだろ。ならば、あのくらいの音で、プライバシーに立ち入るなよ。眠ってれば聞こえないくらいのかすかな音でいちいち文句言ってれば、逆に恨まれる。こっちだって、赤ん坊が、ぎゃーぎゃー泣くんだ。」

時枝のことが気になり、眠れない京子。ふと、起き上がり、晴彦が寝ているのを確認。気づかれぬよう、静かに立ち上がる。

そして、電話で、もう一度、時枝に電話をかける。
やっぱり出ない。すると、京子は、もう一度電話を取り、今度は、警察に通報する。

京子「もしもし、警察ですか? 実は、横浜で一人暮らししている母が、電話に出ないものですから、心配で、どのようにしたら? 住所が、横浜市青葉区青葉台 ... 」

時枝のマンション前に救急車が止まる。

節子「救急車ね。この下で止まったわ。」
礼二「どこだろう。こんな真夜中に。」

救急隊員によってようやく時枝は、助け出される。

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